|
アデレード:30日にハインドマーシュスタジアムで行われたAFC女子アジアカップ決勝戦、中国がPK戦の末ホスト国のオーストラリアを4-2(120分間で2-2)で下して3大会ぶりにアジアの女王に返り咲いた。 今大会、AFCの一員となって初の主催大会となったオーストラリアが実力を見せ、決勝まで進んできたもののPK戦でコロッテ・マッカラムとジョアンヌ・ペータースがPKを失敗し、中国の4人目ハン・ドゥアンが決めたところで中国の優勝が決まった。 2001年、2003年大会ではともに北朝鮮が優勝していたが、今大会の結果、中国がアジアの女王に3大会ぶりに返り咲いた。中国はこの大会、1986年から1999年までの7大会で連覇をなし遂げていた。 トム・セルマンニ監督率いるマチルダスがカイトリン・ムノズ(28分)とジョアンヌ・ペータース(33分)の得点で2点のリードを奪っていたものの、中国が底力を見せて67分にハン・ドゥアン、72分にマー・シャーシューと2人のストライカーの得点で追いつき、延長戦を戦うことになっていた。 アジアの大会初参加となるにもかかわらず、既に韓国、日本を下し、前回と前々回優勝の北朝鮮とはスコアレスドローに終えていたトム・セルマンニ監督率いるオーストラリア代表、序盤からアジアの7大会チャンピオンの中国を前に、緊張した様子はまったくなかった。ハインドマーシュスタジアムには約5000人の観衆が集まり、応援合戦でも中国(現地在住の中国人が多いため)とオーストラリアは火花を散らす。 これまでオーストラリアは中国と26回対戦しており、16の黒星を喫していた(7引き分け)。先月にも2試合の親善試合を行っていたが、中国が優位な結果に終わっていた。 序盤から中国がやや優勢な出だしを見せたものの、両者とも決定的なチャンスを迎えることはなかなか出来ない。 28分、中国陣内右サイドからサリー・シパードのスローインを受けたムノズが中にコントロール、スペースが開いたと思いきや2タッチ目に左足でゴールほぼ正面30mの位置から強烈なシュートを放った。意表を付かれたのか、中国のGKハン・ウェンシャはゴール右隅に飛んできたボールに反応してさわったが、ムノズの放ったシュートをとめることはできず、ボールはゴール右上に突き刺さり、オーストラリアが先制。 この先取点で波に乗るオーストラリアはそのわずか5分後、右CKでコロッテ・マッカラムがゴール前に入れたボールを中国のDFリュー・ヤリがクリアしようとヘディングしたボールがちょうどその前で頭を出していたオーストラリアのペータースの頭に跳ね返り、中国ゴールに吸い込まれた。このラッキーなゴールでマチルダスはリードを広げ、さらに押せ押せムードが広がった。 中国も何とかリズムを取り戻そうと必死に戦うが、前半は2点のリードを奪ってオーストラリアが優勢に折り返した。 55分にはオーストラリアはサラ・ウォルシュからのクロスを中央でマッカラムがシュートするもボールは枠の上を超え、リードをさらに広げることは出来ない。その4分後、今度は中国が30mの距離からマー・シャーシューがロングシュートを放ったものの、ゴール右隅に飛んだボールをオーストラリアのGKメリッサ・バルビエリがなんとかはじいて事なきを得た。 しかし67分、オーストラリアペナルティエリア付近(中央)でボールを受けたマーがヒールパスで左側に流したところに走りこんだハンが右足を振りぬき、ボールはバルビエリが飛び込んでも届かないゴール左隅に決まり、中国が1-2とした。このゴールはオーストラリアの今大会初失点。 さらにその5分後、オーストラリア左サイド深くでボールを持ったマーがドリブルでペナルティエリアに持ち込み、オーストラリアDFをかわして角度のないところから右足で放ったシュートがバルビエリの守るゴールに突き刺さった。中国サポーターが歓喜の渦に巻き込まれる同点ゴール。 試合終了10分前からは中国が完全に主導権を握り、波状攻撃を仕掛けたものの、オーストラリアが必死の守りで攻撃をことごとく跳ね返し、試合は延長戦に突入。 中国とオーストラリアがともに長身のキャプテンでセンターバックのプー・ウェイ(中国)とシェリル・サリスバリー(オーストラリア)をともに中盤に挙げ、延長後半にセルマンニ監督はサリスバリーを前線に送ってパワープレーでの得点を期待したが、両チームとも得点することが出来ず、AFC女子アジアカップ2006の優勝の行方はPK戦に持ち込まれた。 オーストラリアはマッカラムとペータースがともに中国の延長後半終了間際に交代したGKのジャン・ヤンルに止められ、3人目までいずれも成功していた中国は4人目のハン・ドゥアンが決め、優勝が決まった。 試合後、トム・セルマンニ監督は「大会前に決勝でPK戦で優勝が決まるのではないかと誰かに言われたが、私はそれを信じていなかった。PK戦というのは一種の賭けのようなものだ。しかし、今日は非常にすばらしいチーム同士の対戦となった。スタジアムに集まってくださった人たちもこの試合を楽しんでくれたと思う。」とし、「私の選手たちが尽くしてくれた努力に対して、非常に栄誉に思う。マチルダスがこの大会で成し遂げてくれたことはほかの女子選手たちを勇気付けるものだった。」と語った。 「ワールドカップ出場権も得た今、この大会はその世界大会に備えるという意味でも非常にすばらしい機会を与えてくれた。」 「準決勝に進出した4チームと韓国は、どのチームが決勝に進んでもおかしくない実力をもっていた。また、これらのチームは世界のどのチームとも十分戦えるレベルにあると思う。この大会を戦うのは難しいだろうと思っていたが、AFC女子アジアカップは非常にレベルの高い、強力なチームが集まっている大会だ。私たちもこの結果を出し、良い印象をアジアに与えられたと思う。また、オーストラリアの女子サッカーの発展に対しても我々のパフォーマンスはポジティブな強い印象をもたらしただろう。」と語った。 優勝した中国のマー・リャンシン監督は「2点のビハインドからどう立て直したかを説明するのは非常に難しい。しかし、私はハーフタイムに、自分たちはまだまだやれるから前に向かっていこうという指示を選手に出し、彼女たちを信頼してピッチに送り出した。この重要な大会で優勝するということは、選手たちに自信を取り戻させ、精神的な向上をもたらしてくれた。しかし、チャンピオンになることが全てではない。これからもアジアの強力なチームと戦いを続けていかなければならない。」と述べた。 また、オーストラリアがAFCに加盟したことについては、「彼女たちがAFCの大会に出場することによって、アジアのチームがオーストラリアと対戦する機会をより多くなるであろうことは非常に良いことだ。オーストラリアはすばらしいチームだ。」と語った。 また、試合後の表彰式では、個人賞も発表された。 大会MVPには決勝で同点ゴールを挙げたマー・シャオシューが、大会得点王には日本の永里優季と韓国のジュン・ジュンスクがそれぞれ通算7得点でそれぞれ輝いた。また、フェアプレー賞は中国に贈られた。
|